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使われたのはどこのどんな牛肉なのか?牛肉じゃなくて、他の副産物のせいかも知れないじゃないですか。 ぼくの知り合いのワンちゃんは、脂質アレルギーだと言うんです。
そのワンちゃんに、うちのビーフオイルを使ってもらったんですけど、捧みはぜんぜん出なかった。 じゃあ脂質アレルギーはどこに行ったの?ということです」最近はそういう声を受けて、牛肉をやめてマトンにしましょうとか、カンガルーにしましょう、といった動きも出てきた。
Tさんは、そんなわけの分からない外国から食材を持ってくるよりは、出所のしっかりした牛肉の方が、はるかに安全で間違いないと言う。 だが、よく言われる牛豚に使われるホルモン剤や抗生物質についてはどうなのだろう?それについて、Tさんはこう話す。

「ホルモン剤や抗生物質の使用に関してはすごく難しい問題ですね。 ただ、ぼくに言えるのは、ぼくらがふだん食べても安全なもの、そのレベルのものをワンちゃんにあげたらどうかということですね。
牛は追跡調査をしようと思えばできるんです。 何を飼料として与えていたか、どこの牧草地で育ったか…。
ですが、それを全面的に断つことは不可能でしょう。 だから人間の食用として安全性が確認されているものという基準で考えるしかないと思います。
もちろん、屠畜場でお肉にする前に検査はされてるんですよ。 そこで抗生物質が出るようなら出荷されませんから。
その安全基準を信じるしかないと」もっともな話だろう。 どうしても納得がいかないというなら、ペットフードを論じる前に、人間の食材の方から正していかなければならないことになる。
人間でもちょっとゼイタクな食材『ジロ吉ごはん』の中身を見ると、Tさんのこだわりぶりが分かる。 どこから原材料を持ってきたかまで開示し、いかに厳選された食材であるかを静かに主張しているようだ。
ペットフードに関してまったくのゼロスタートだったTさんは、まずは、AAFCOの栄養基準値と食材の一覧表とを見くらべながら、一つひとつ「よいと思われる食材」をピックアップしていったそうだ。 「最初はほんとに試行錯誤で、風水プロジェクトのAさんから『おからが身体にいい』と言われている先生がいるという話を聞くと、その先生に話を聞きに行ったりして、よしこれも入れよう、あれも入れようとやってるうちに内容がどんどん増えていっちやって…。

たとえば、臨芽松が欲しいと思って探したら、町腔芽松だけを選別するのは無理だけどフスマならあると言われてフスマにしたり、野菜は大地さんや風水さんから安全なものを分けていただいたりしてつくってきました」野菜などは有機農法の農家からだから、ニンジンひとつにしても「ちょっともったいないかな」と思えるほどのいいニンジンが来るそうだ。 ニンジンを入れたのはビタミンAの補充のためだが、鳥のレバーの方が犬には合っているのではと悩んでみたり、ビタミンDには豚の「まめ」と呼ばれる腎臓を仕入れて入れてみたり、いろんな試行錯誤をやってみた。
「猫がネズミを捕って食べるのを見たことがあるんですが、頭とシッポを残して全部食べる。 彼らにとっては、やはり筋肉だけじゃなくて内臓とかも必要なんでしょう。
だから草食動物を狩って食べるときも内臓や腸まで一緒に食べて、そこから植物性のものを取っていたというのは言えると思います」動物の食性を勉強すると、食材の持つ栄養量を合算して基準値に近づけるだけでは駄目なことも分かってきた。 動物の食性の大切さについては、Uさんから教わったそうだ。
「たとえば、ヨウ素とかを補充するのに使うのはワカメや昆布なんですけど、計算上は楽にクリアしているはずなのに、分析にかけると足らなかったりする。 m倍以上入っているはずなのに、どこかで落ちてしまう。
それがなぜだか分からない。 いっぽう、ビタミンは熱処理段階で壊れやすいとよく言われますけど、調べてみるとそちらはちゃんと入っている。
だからヨウ素も熱で壊れたんじゃない。 そこでまた悩むわけです」組み合わせに関しては、今もまだ完成品にはほど遠いもので、もっともっといいものに変えていきたいとTさんは言う。
「少しずつステップアップしながら理想形に近づけていって、健康な犬や猫たちを増やしていければいいなと思っています」製造に使っているのは、ミンチとかをつくる押し出し機だ。 T商会の工場の最上階にあるペットフード専用工場を見せてもらった。
ちょっと息切れするほどの急な外階段を上って室内に入ると、そこでは数人の社員たちが4つの機械を使って、きょう出荷分の『ジロ吉ごはん』をつくっていた。 ここでの工程は、材料をミキサーで混ぜて練る→押し出し機にかけて絞り出し、棒状にする→回転板でコロコロ転がして丸くし形を整える→乾燥、というものだ。
つくっているのはたしかに機械だが、ラインとして繋がっているわけではなく、機械から機械へは人の手によって運ばれている。 また、押し出し機もほんとに手作り感覚のものだから、出てきたフードは2個がくっついたり、うまく丸まっていなかったりとバラつきがある。

しか二重釜を使って炊いた玄米と野菜に、牛肉粉やおからを加えて練り込んでいく。 押し出し機にかけて棒状にしたフードを回転板で転がして丸くし、ビーフエキスを加えていく。
それがかえって、人の手でつくられているという感じがあっていい。 ペットフードの専用製造機であるエクストルーダーを使うと、材料をすべて粉状にしなければならないのに対し、T商会のやり方は最初に原材料を大きなお釜で炊くというものだ。
玄米もニンジンも、肉以外の食材はすべて一緒に炊き、それを撹排してベースをつくる。 「人間の食事の作り方と同じです。
ごはんを炊くのと同じ要領で、二重釜を使ってニンジン、フスマ、玄米などを一緒に炊きます。 おからは熱風で乾燥させたものが運ばれてきますが、ニンジンなどの野菜はナマのままで来ますから。
玄米はふつうに炊くと、そのままウンチになって出てきちゃうので、粗粉砕してから炊いています」フスマと鶏のレバーは細かくしてボイルする。 そこで出たスープも一緒にして、炊いた玄米などと混ぜる。
これらを最後に、肉やビーフエキスと一緒にミキサーに掛けるわけだ。 「玄米は絶対に炊いた方がいいと思います。
炊けばアルファ化もしっかりできますから。 最後はマルメライザーという機械を通して丸くしたものを固定式の乾燥機に入れて乾燥させますが、それにはたっぷり時間をかけています。
温度は今、100度ぐらいにしてるんですけど、それぐらいでは栄養素はそれほど落ちません」玄米は、赤とんぼという玄米専門の会社のもので、ちょっと粒が小さいということで商用からはじかれたものをもらっている。 しかし、人間が食べても十分においしいそうだ。

立ちはだかる基準値Tさんの魅力は、ここまでやってもまだ飽きたらず、いまだに理想の「答え」を探し続けていることだ。 しかしそうしたとき、いつも立ちはだかるのは、本当に理想的な栄養基準はどこにあるのだろうという疑問だという。
今、彼が目安にしているのはAAFCOの基準値だ。 今はそれしかないからである。
「必要と言われている栄養量をすべて自然の食材から取るというのは、やってみるとものすごく大変なんですよ。

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